来週から出張で、1週間ジムに行けない。 3日あくだけでも、なんだか落ち着かない。
せっかく積み上げてきたものが、無駄になるんじゃないか。 そう思って調べている方に向けて書いています。
結論から書きます。
1週間休んだくらいでは、変わりません。休養だけしっかり取って、帰ってきてください。
これは、実際に会員の方から「出張で来週のセッションに行けなくて不安です」と 言われたときに、私がいつもお伝えしていることです。
1. 鏡を見て「しぼんだ」と思ったら
数日空けると、鏡の前で気づくことがあります。
なんだか小さくなった気がする。
ですが、そう見える理由は、筋肉ではありません。
- 筋肉が減ったわけではない:数日で、目に見えるほど筋肉が減ることはありません
- 抜けたのは水分:トレーニングを続けていると、筋肉に水分が保たれて張りが出ます。休むとその張りが引いて、むくみも取れるので、「しぼんだ」ように見えます
抜けたのは水です。戻せば、また張ります。
2. 1週間なら、落ちません
正直に書くと、ちょうど1週間の休みを測った研究は見当たりません。 ただ、その前後を挟む研究はあります。
パワー系の競技者12名に、14日間まったくトレーニングをやめてもらった介入研究では、 ベンチプレスが −1.7%、スクワットが −0.9%。 どちらも、統計的に意味のある差は出ていません(Hortobágyi et al., 1993)。
競技者の話だけでは遠いので、もう1本。 運動習慣のなかった40歳前後の男性35名を、3つのやり方に分けた介入研究があります。 そのうち筋トレをした11名は、6週間のあと約2.5週間まったく休んでも、 筋力も除脂肪体重も維持されていました(Callahan et al., 2021)。
※この研究で落ちていたのは有酸素能力のほうです。心肺は、筋力より早く落ちます。
研究で確かめられているのは、2週間から2週間半の完全な休みでは、ベンチプレスやスクワットのような挙上重量に、意味のある低下は報告されていないというところまでです。 出張の1週間は、その範囲の内側に収まります。
※「何ひとつ落ちない」という話ではありません。同じ14日の研究でも、下ろす方向の力と、速筋の線維の太さは小さくなっています。3週間休んだ場合では、筋肉の断面積が2〜3%ほど小さくなっています(Ogasawara et al., 2013)。どれも、鏡で分かる量ではありません。
ついでに書いておくと、出張続きで回数が減る時期も、扱う重さを落とさなければ筋力と筋量は保てる、とこれまでの研究をまとめた総説にあります(Spiering et al., 2021)。 ただしこれは若い方の話で、年齢が上がると、必要な回数とセット数は増えます。 いずれにしても、減らすなら回数のほうで、重さではありません。
3. 出張先では、むしろ動いています
見落とされがちですが、出張中の身体は休んでいません。
- 慣れない街を、思ったより歩いている
- 荷物を持って移動している
- 気を使う相手と、一日中いる
歩数だけなら、普段のデスクワークより多い日もあるはずです。

そのうえ気疲れがあります。 知らない場所、初対面の人、慣れない段取り。 身体より先に、神経が疲れています。
ここに筋トレを足す必要が、本当にあるでしょうか。
4. 無理にやると、かえって損をします
出張先で頑張った結果、体調を崩す。 これが一番もったいないパターンです。
慣れない環境、足りない睡眠、気疲れ。 そこに普段と違う負荷をかければ、戻るものも戻らなくなります。 1週間空くのを嫌がって、2週間寝込むことになりかねません。

思い切って休んでいいと思っています。
5. 本当に気をつけるのは、生活リズム
身体が変わってしまう原因は、運動量ではありません。
崩れるのは、生活リズムです。
出張の夜は、だいたいこうなります。
- 取引先との会食。断りにくい
- 店は先方が選ぶ
- 一次会で終わらない
- ホテルに戻るのが遅くなり、翌朝が早い

お酒そのものより、寝る時間がずれて、食べる時間がずれることのほうが響きます。 ホテルで腕立てをしても、ここは取り返せません。
私は銀座で店もやっているので、飲む側ではなく出す側も見ています。 その立場から言うと、出張中の夜は普段より崩れやすい条件が揃っています。 知らない街で、相手が選んだ店で、断りにくい空気がある。
全部を気をつけようとすると、続きません。 私が気をつけているのは、高たんぱく・低脂質のものを先に頼むこと。 お酒を飲むなら、カロリーの低いものを選ぶこと。それくらいです。
ただ、ここは言い方を間違えたくないので、はっきり書いておきます。
せっかく出張に行っているのなら、その土地の美味しいものを食べてください。
フィットネスは、人生を豊かにするためのものです。 我慢を増やすためのものではありません。 普段少し不摂生をしても、取り戻せる。 そのためのトレーニングです。

