今日はジムに行く予定だった。 でも、どうしても気が重い。
休んでいいのか、無理してでも行くべきなのか。 その決め方を、トレーナーとしての経験から書きます。
先に答えを書きます。
体がSOSを出している日は、思い切って休む。気分が乗らないだけの日は、自分なりの対策を使って行く。
休んでいいのは、2つのときだけです。 それに、1回休んだこと自体で、習慣が崩れることはありません。 崩れるのは、そのまま戻らなかったときです。
1. ジムに行きたくない理由は、体か気分の2種類
同じ「行きたくない」でも、中身は2つに分かれます。
- 体が止めている:朝からだるい、寒い、明らかに寝ていない、関節が痛い
- 気分が止めている:面倒、雨が降っている、仕事で気が重い
体が止めているときに無理をすると、体調を崩したりケガをしたりして、結局は長く休むことになります。 気分が止めているだけのときに休むと、休んだことを気にしている時間のほうが長くなります。
体が止めている、と言えるのは次の2つのときです。
2. 筋トレを休んでいい2つのサイン
① 体がSOSを出しているとき
大会に向けて減量していた頃、その終盤に、こういう朝がありました。
朝から体がだるい。 寒い。体温が上がってこない。
カロリーをかなり切り詰めていた時期でした。

これは完全に、体のSOSだと思いました。
普段の私は、気分で予定を動かすことはほとんどしません。 トレーニングをしないのが怖い、という気持ちもありました。 それでも、その日は思い切って休みました。
すると次の日には、すっかり回復していました。 いつもより、いいトレーニングができたくらいです。
このとき、休むことの大切さを学びました。
熱がある、全身がだるい、寒気がする。 前の晩に、明らかに寝ていない。 こういう日は、迷わず休んでください。寝不足の日にいちばん効くのは、早く寝ることです。
※エネルギーが大きく不足すると、甲状腺ホルモンが下がったり(Loucks & Heath, 1994・運動習慣のない女性を対象にした介入研究)、体温が下がったり(Heilbronn et al., 2006・介入研究)することが分かっています。寒い・だるいは、エネルギーが足りていないサインかもしれません。
※体調が悪いときにどうするかは、最終的には医師の判断です。熱が続く、いつもと違う症状が続く、といったときは、貧血など別の原因もありうるので受診してください。
② 関節が痛むとき
もう1つは、関節の痛みです。 痛む関節を使うトレーニングは、やらないほうがいいです。その部位は休ませてください。
私は会員さんから「ちょっと違和感があって」と言われたら、必ずこう聞きます。
「それは関節ですか、筋肉ですか」
関節なら、その部位を避けたメニューに組み替えて、関節は休ませます。 肩が痛いなら脚の日にする、というように、ほかの部位はいつも通りできることがほとんどです。
※腫れや熱っぽさがある、数日たっても痛みが引かない、といった場合は、整形外科を受診してください。
3. 筋肉痛や、ただ眠いだけなら休まなくていい
逆に、休む理由に見えて、実は休まなくていいものもあります。
筋肉痛
関節ではなく筋肉の痛みなら、無理のない範囲で動いてかまいません。 軽く動かして血流を促すほうが、じっとしているより楽になることが多いです。 アクティブレスト(積極的休養)と呼ばれる考え方です。
※筋肉痛のある部位を、いつもの重さで追い込むという意味ではありません。軽い重さで、別の部位を中心に動かす、くらいのイメージです。
ただ眠いだけ
眠くて行きたくない、という日もあると思います。 前の晩に明らかに寝ていないなら①に入るので、休んでください。 そうではなく、仕事終わりにただ眠いだけなら、行って体を動かすと、目が覚めることが多いです。
4. モチベーションが上がらない日に、ジムへ行く対策
ここまでに当てはまらないなら、それは気分の問題です。
「モチベーションが上がったら行こう」と待っていると、たいていその日は行けません。 私も、行きたくない日はあります。 なので、自分なりの対策をいくつか持っています。
- お気に入りのウェアを着る
- 高いプレワークアウトを飲む
- コンビニで好きなスイーツを食べてから行く
- 気分が上がる音楽を聴く

プレワークアウトは、効かせるために飲んでいるわけではありません。 「高いのを買ったんだから、今日は行こう」と思えるための儀式です。
※プレワークアウトの多くにはカフェインが入っていて、売れ筋の製品では1回分が平均で約250mgでした(Jagim et al., 2019・市販品100製品の成分調査)。睡眠の研究をまとめた分析では、プレワークアウト1杯分のカフェインは、寝る13時間以上前に飲まないと睡眠が短くなる、と見積もられています(Gardiner et al., 2023・メタ分析)。仕事終わりに飲むなら、量を減らすか、カフェインの入っていないものを選んでください。
1つでは効かない日もあるので、いくつか持っておくのがおすすめです。
人と一緒にトレーニングする(合トレ)のも1つです。 相手との約束があると、それだけで足が向きます。
パーソナルトレーニングを申し込んでみるのもいいと思います。 いつもと違うメニュー、いつもと違う人。 マンネリを壊すには、環境ごと変えるのが早いと私は思っています。
「痩せたいのに、行きたくない」という方もいると思います。 これは、目標が遠すぎて、今日の1回に意味を感じにくくなっている状態です。 「3ヶ月で−5kg」の代わりに、「今日は好きな種目を2つだけ」くらいまで小さくすると、足が動きます。
5. 疲れている日は、筋トレを追い込まなくていい
ここからは、トレーナーとしての話です。
仕事終わりにそのまま来られる会員さんや、明らかにお疲れの会員さんは、よくいらっしゃいます。
前の晩に明らかに寝ていない、熱っぽい。そういう日は①に当たるので、無理をせず休んでください。 そこまでではないけれど、仕事の疲れが溜まっている。そういう日に来られたときは、無理に追い込みません。
仕事のストレスが重なって疲れている日は、体調を崩しやすい日でもある、と現場で見ていて感じます。 そういう日に、無理に追い込む必要はないと私は考えています。 風邪をひいてしまえば、トレーニングからはかえって遠ざかります。
※激しい運動のあとに免疫が一時的に下がる、という説もありますが、研究者のあいだでもまだ決着していません。「免疫抑制というのは誤解だ」とする総説(Campbell & Turner, 2018)がある一方、その著者本人たちを含む8名の討論論文は「運動そのものが感染リスクを上げる原因なのかは未解決のまま」と結んでいます(Simpson et al., 2020・討論論文)。ここに書いているのは、現場での私の判断です。
ただ、実際によくあるのは、体ではなく気分が乗っていないだけというケースです。
そういうときは、会員さんの好きな音楽をかけてセッションを始めます。 すると、だんだん乗ってきて、気づけば結局ハードな、いいトレーニングになっている。 帰り際に「すっきりしました」と言って帰られることも、よくあります。
来る前の気分と、終わったあとの気分は、別物です。
1回の運動のあとに気分が上向くことは、100件以上の研究をまとめた分析でも示されています(Weinstein et al., 2024・メタ分析)。 効果は小〜中くらいで、個人差も大きいのですが、有酸素運動の研究では、運動する前の気分が低い人ほど、上がりやすい傾向がありました(Reed & Ones, 2006・メタ分析)。 筋トレでも同じかどうかまでは分かっていません。ただ、私が現場で見ている「すっきりしました」とは、よく重なります。
なので、行くと決めたら、いつもと同じメニューをこなさなくてかまいません。
- 種目を減らす:大きな種目を1〜2つだけ
- セット数を減らす:いつもの半分
- 重さは、無理のない範囲で
好きな種目だけ、好きなだけやって帰る。それでもいいと思います。 これで十分です。 ゼロの日と、半分やった日の差は、思っているより大きいと私は思っています。




