体型が気になって、ジムに申し込めない。 入口までは行ったのに、中の様子を見て引き返してしまった。 「がんばってダイエットしに来たと思われそう」と思うと、足が止まる。
この記事は、そこで一歩が出ない方のために書きました。
先にお伝えしたいのは、ジムに行く理由の話です。 体を変えたいなら、ウォーキングやランニングだけでなく、筋トレを混ぜてください。 それも、週1回・軽めの重量からで大丈夫です。 そして食事は、「減らす」より先に「把握する」ところから始めます。
ボディメイクには、順番があります。
体型が気になる人ほど、有酸素だけになりがちです
痩せようと思ったとき、まず思い浮かぶのはウォーキングやランニングだと思います。 一人でできて、人に見られにくい。始めやすいのは確かです。
逆に、ジムのウェイトのエリアは、いちばん人目が気になる場所です。 体型が気になっている方ほど、ここを避けたくなるのは自然なことです。

実際、アメリカの約40万人の調査では、過体重・肥満の人ほど、筋トレをしている割合が低いという結果が出ています。
※Bennie ら(2018年)。米国の成人397,423人の電話調査です。有酸素運動に偏っているかまでは調べていません。日本のデータではありません。
でも、体を変えたいなら、ここが分かれ道になります。
筋トレを混ぜると、筋肉が落ちにくくなる
食事を減らすと、体重は落ちます。 ただ、そのとき落ちるのは脂肪だけではありません。筋肉なども一緒に落ちます。
減量中に「有酸素だけ」「筋トレだけ」「両方」で比べた研究があります。 6か月で体重はどの群も同じくらい落ちましたが、筋肉などの減り方が違いました。
| 運動 | 筋肉の減り方 |
|---|---|
| 有酸素だけ | −5% |
| 筋トレだけ | −2% |
| 両方 | −3% |
体の動かしやすさ(身体機能)がいちばん良くなったのは、両方やった群でした。
※Villareal ら(2017年)。肥満の高齢者160名のランダム化比較試験です。働く世代でまったく同じになるとは限りません。表の「筋肉」は、正確には除脂肪量(体脂肪以外の重さ。骨や水分も含みます)です。

太っている人が筋トレしたらどうなる?
もっと広い年代のデータもあります。 過体重・肥満の人を対象にした114の試験をまとめた分析では、筋トレだけで、平均して筋肉など(除脂肪量)が約0.8kg増え、体脂肪が約1kg減っていました。
筋トレに食事の見直しを組み合わせた場合は、体脂肪が約5.3kg減り、筋肉などはほぼ維持されていました。
※Lopez ら(2022年)のメタ分析。平均の値で、個人差があります。
ここで大事なのは、筋トレだけだと、体重計の数字はあまり動かないこともあるということです。 筋肉が増えて、脂肪が減る。体重は同じでも、中身が入れ替わっています。 体重を落とすこと自体は、主に食事の役割です。だから、筋トレと食事はセットで考えます。
体重を落とすのは食事。筋肉を守りながら落とすのが筋トレ。
週1回・軽めの重量から始めていい
「筋トレ」と聞くと、重いバーベルを挙げるイメージがあるかもしれません。 始めるときは、そこまでしなくて大丈夫です。
週1回からでも、筋力は伸びます。 回数を増やせば、そのぶん上乗せがあります。まずは週1回で始めて、慣れてきたら増やせば十分です。 始めて最初の数週間に伸びるのは、主に体の動かし方(神経の働き)のほうです。筋肉そのものが大きくなるのは、その先です。
※神経の働きについては Moritani と deVries(1979年、15名の小さな研究)。週1回の効果については、過体重・肥満の中年97名を1年間追った研究で、週1回でも体力の改善が見られ、週2〜3回ではさらに大きくなりました(Batrakoulis ら 2023年)。自重などを使ったサーキット形式の運動で、筋トレだけを調べたものではありません。
重さも、軽めで構いません。 ただし条件がひとつあります。限界の少し手前まで、回数をこなすこと。 軽い重量でも限界近くまでやれば、筋肉の大きくなり方は重い重量と変わらないことが分かっています。 楽にこなせるくらいの軽さだと、効果は小さくなります。

※Schoenfeld ら(2017年)のメタ分析。最大筋力を上げたい場合は、重い重量のほうが有利です。
私のところでは、まず大きい筋肉から鍛えていきます。 脚、背中、胸。大きい筋肉から動かすほうが、短い時間でも体を変えやすいと考えているからです。
ダイエットの食事は「制限」ではなく「管理」。3つの順番があります
食事の話をします。ここがいちばん大事です。
痩せようとすると、多くの人が最初に食べる量を減らします。 でも、いきなり量を減らすのは、誰にとっても大変です。 私が見てきた限り、我慢したぶん、どこかで反動のドカ食いが来て、元に戻ってしまう方が少なくありません。
これとは別の角度の研究ですが、「これは食べてはいけない」と白か黒かで厳しく決めるやり方は、食べ過ぎや体重の高さと結びついているという報告があります。 ある程度の融通をきかせて管理する人のほうが、減量やその維持がうまくいきやすい、とも報告されています。
※Westenhoefer ら(1999年・2013年)。多くは一時点の調査で、因果までは分かっていません。
私のところでは、食事を3つの段階で進めます。
ステップ1 まず、食べているものを「把握する」
最初は、何も減らしません。 自分が何を食べているかを知るところから始めます。 管理アプリに記録してもらうか、食事の写真を送ってもらっています。
食べたものを記録する人ほど減量がうまくいきやすいことは、多くの研究で一貫して報告されています。
※Burke ら(2011年)の系統的レビュー。著者自身が、根拠の強さは限られると書いています。写真での記録は、続けやすい入口として使っています。
ステップ2 量は減らさず、中身を「クリーンにする」
把握できたら、次は量を減らすのではなく、中身を入れ替えます。
減らすのは、エンプティカロリーです。 カロリーはあるのに、ビタミンやミネラル、タンパク質といった栄養がほとんどないもの。お菓子や甘い飲み物、揚げ物の衣などがそうです。
それを、主にタンパク質に置き換えていきます。
下の2枚は、私が大会に向けて減量していた時期の、実際の夜ごはんです。

品数が多く、かさのある食事です。並んでいるのは、刺身、カツオのたたき、蒸し鶏といったタンパク質と、麦ごはん、野菜の多い味噌汁です。

こちらは出張先です。コンビニでも、選び方ひとつで同じことができます。 タンスティックやカニカマでタンパク質をとり、温野菜と玉こんにゃく、味噌汁でかさを足しています。 パッケージにカロリーが書いてあるので、ステップ1の「把握」もしやすいです。
タンパク質を優先する理由は2つあります。
ひとつは、筋肉をつくる材料になること。減量中にタンパク質を多めにとると、筋肉などが落ちにくくなります。
※Wycherley ら(2012年)のメタ分析。効果は大きくはありませんが、一貫しています。
もうひとつは、食事誘発性熱産生です。 食べたものを消化するときにも、エネルギーが使われます。その割合が、栄養素によって違います。
| 栄養素 | 消化で熱として使われる割合 |
|---|---|
| タンパク質 | 20〜30% |
| 炭水化物 | 5〜10% |
| 脂質 | 0〜3% |
※Westerterp(2004年)、Tappy(1996年)。1日に換算すると大きな差ではないので、「置き換えれば痩せる」という意味ではありません。
ステップ3 土台ができてから「カロリーを管理する」
ステップ1と2ができてから、ようやくカロリーの調整に入ります。 ここでも、数字で自分を縛るのではありません。把握した中身を見ながら、少しずつ調整していきます。
落とすペースにも、目安を決めています。 私のところでは、減量の方は1か月に1〜2kgのペースで指導しています。 これより速く落ちているときは、筋肉まで分解されている可能性が高いと考えているからです。 筋トレを混ぜるのと同じで、ここでも守りたいのは筋肉です。
多くの人が、ステップ1と2を飛ばして、いきなり3から始めます。 だからつらくなって、続かない。私はそう考えています。
ボディメイクには、順番があります。
私自身が大会に向けて体をつくるときも、同じ3つの順番を踏んでいます。 (大会の減量は期限が決まっているので、ペースは会員さんへの指導とは別です。) 私は身長170cmで、体重はオフシーズンが75kgくらい、大会のときが65kgくらいです。 減量中に1日でとっていた量は、次のとおりです。
| 項目 | 私の減量中の1日 |
|---|---|
| カロリー | 約2,000kcal |
| タンパク質 | 150g |
| 脂質 | 40g以下 |
| 炭水化物 | 残りすべて(計算すると約260g) |
タンパク質を先に決めて、脂質を抑え、残りを炭水化物でとる。決める順番も、ここまでの3ステップと同じです。
※これは大会に出るための私の数字で、そのまま真似していただくものではありません。必要な量は、体格や目標、生活によって変わります。



