昨日、飲みすぎた。 頭が重い。今日はジムの予約が入っている。
こんな状態で、やっていいのか。 そう思って調べている方に向けて書いています。
結論から書きます。
来てください。ただし記録更新は狙わず、いつもの50〜70%の重量で全身を軽く通す日にします。
1. 二日酔いでジムに来る人は、それだけで正解です
まず、これを言わせてください。
二日酔いなのにジムに来る会員さん。えらいです。
飲みすぎた翌朝、いちばん自然な選択は「今日はやめておこう」です。 それでも来る人がいる。私はその人たちを、本当にすごいと思っています。
理由は、次の章に書きます。
2. 飲みすぎの最大の損は、カロリーではありません
「二日酔い 筋トレ」で調べると、お酒のカロリーの話や、筋肉への影響の話がたくさん出てきます。
どれも間違ってはいません。
ただ、私がこの仕事をしていて思う、飲みすぎのいちばん大きなデメリットは別です。
運動の習慣が、そこで壊れることです。
1回の飲み会で増えるカロリーより、 そこからジムに行かなくなる2週間のほうが、よほど大きい。
1回休むと、次も休みやすくなります。 その「次」が積み重なると、気づいたときには1ヶ月空いています。
だから、二日酔いでも来た人は、いちばん損の大きいところを自分で断ち切っている。 それがすごい、という話です。
ジムに行きたくない日の判断基準でも書きましたが、1回休むこと自体は問題になりません。問題になるのは、そのまま戻らなかったときです。
3. 意外かもしれませんが、力は落ちていません
ここからは、調べて分かったことを書きます。
私も「二日酔いの日は力が出ない」と思っていました。 実際に測った研究を読むと、そうではありませんでした。
前の晩に飲んでもらい、翌朝に測った研究があります(Shaw et al., 2022・12名)。
- 垂直跳び 差なし
- 最大の引く力(腿の高さのバーを引く等尺性のテスト) 差なし
- 腕のカール 差なし
女性12名にビールを0本・2本・4本・6本飲んでもらい、9時間後に測った研究でも、 握力も安静時の心拍も血圧も、飲んだ量にかかわらず変わりませんでした(Kruisselbrink et al., 2006)。
力そのものは、出ます。
4. 落ちるのは「もち」と「しんどさ」です
では何が落ちるのか。同じ研究が答えています。
自転車を一定の出力で漕ぎ続けて、限界までの時間が11%短くなっていました(Shaw et al., 2022)。 最大筋力は変わらないのに、もちが悪くなる。
もうひとつ。 クレタ島の渓谷15.8kmを299人が歩いた調査があります(Verster et al., 2019)。
- 歩いた時間 差なし
- 休憩の回数 差なし
- 休憩した時間 差なし
- 歩き終わったあとの疲労感 有意に強い
つまり、同じことはできる。ただ、同じことをしてもしんどい。
しんどさは気のせいではありません。測られています。
そして実際に、二日酔いの日、人は活動量が落ちています(Devenney et al., 2019・25名を加速度計で計測)。
5. だから、50〜70%で全身を通します
ここが実際のやり方です。
飲んだ翌朝に来られた方には、こう組んでいます。
- 重量の目安:いつものメニューの50〜70%くらいに落とす
- 鍛える部位:特定の部位を追い込まず、全身にまんべんなく刺激を与える
- 水分補給:喉の渇きに合わせて、十分に水分を取りながら行う
ポイントは、部位を絞らずに全身をやることです。
二日酔いの日に「今日は胸の日だから胸を追い込む」とやると、 結局いつもの強度に近づいてしまいます。
そうではなく、全身を軽く通す。アクティブレストのつもりで動かす日にします。

※水分が取れない日、吐き気が強い日は、来ないでください。 そこまでの状態なら、動く日ではありません。
3章と4章のとおり、力は出ます。 出るからこそ、自分でブレーキをかける必要がある日です。
重量を落とすのは、力が出ないからではありません。 もちが落ちるので、いつもの量をこなせない。 そしてしんどさが増すぶん、フォームが崩れやすい。 内臓と眠りの話は、9章に書きます。
記録更新は、別の日にやりましょう。
6. 水は飲んでください。ただし「二日酔いが治る」からではありません
ここは、よく見かける話と違うので、はっきり書いておきます。
二日酔いは脱水のせい、という説明は、いまの研究では支持されていません。
飲酒による脱水と二日酔いは、同時に起きるけれど、別のものだと整理されています。 脱水の影響は比較的軽く、短い。水を飲んでも二日酔いの重さは変わらなかった、というのが、これまでの研究をまとめた総説の整理です(Mackus et al., 2024)。
2026年に発表された、日本人男性13名に日本酒を飲んでもらい、水を一緒に飲む日と飲まない日で比べた追試でも、 翌日の症状に差は出ませんでした(Imai et al., 2026)。
では、なぜ水を飲むのか。
喉が渇いているからです。
1,837人を調べた調査で、二日酔いの症状として最も多くて重かったのは、 眠気、疲労感、喉の渇き、集中できないことでした(van Schrojenstein Lantman et al., 2017)。
渇いているときに水を飲むのは、それだけで理由として十分です。 トレーニング中に水分を取るのは当たり前のことでもあります。
ただ、「水を飲めば二日酔いが抜ける」とは書けません。
