油ものを避ければ、お米は制限しなくていい。ただ、上乗せは少しで、量はトレーニングと同じように少しずつ。私の実感では、運動量が増えると体のほうが欲しがって食べられるようにもなってきます。
体を大きくするために、食べる量を増やした。
でも、お腹が苦しい。正直、トレーニングよりつらい。
そう感じている方に、増量中の会員さんへ私がいつも話していることをまとめました。
増量の食事がきついのは、最初から頑張って食べようとしているからです。
食べるものに気をつければ、お米は制限しなくていい。ただ、無理に増やさず、トレーニングと同じように少しずつで大丈夫です。
1. 増量の食事は、本当はきつくない
私自身、増量期の食事をきついと思ったことは、あまりありません。
食べるものだけ気をつければ、あとはお米を好きなだけ食べればいいからです。
脂質の多いものを避ければ、それ以外は基本的に何でも食べています。
きつくなるのは、たいてい次のどちらかです。
- 最初から、一気にたくさん食べようとしている
- 食べるものを選ばずに、量だけでなんとかしようとしている
どちらも、少しやり方を変えるだけで楽になります。
2. 最初から頑張って食べなくていい
筋肉を大きくするのに、食べる量を倍にする必要はありません。
上乗せは、ほんの少しでかまいません。
1日500kcal以上上乗せしても、無駄になると私は考えています。
体脂肪1kgがおよそ7,000kcal(厚生労働省の目安)なので、計算すると、1日230kcalほど多く食べ続ければ1か月で1kgほどです。
230kcalは、コンビニのおにぎり1個とちょっとです。
増やすペースは、月に1〜2kgくらいまでを目安にしています。私の増量期も、増量中の会員さんへの指導も、このペースです。
これより速く増えているときは、筋肉ではなく、脂肪がついているだけの可能性が高いからです。
体重の軽い方なら、月1kg前後から始めてください。
※実際には、食べる量を増やすと体の消費も少し増えますし、筋肉が増える分は計算が変わります。目安として見て、体重の推移で調整してください。
そして、もう1つ大事なことがあります。
私が見てきた限り、運動量が増えてくると、体のほうが欲しがって、食べられるようにもなってきます。
※運動を続けると食べる量が少し増える人がいることは、研究でも報告されています。ただ、増え方は人によってかなり違います(King et al., 2008・肥満の方が12週間運動を続けた介入研究)。筋トレを8週間続けた研究では、空腹感は強くなったものの、食べた量そのものは増えていませんでした(Cardoso et al., 2024・介入研究)。ここに書いているのは、トレーナーとしての私の実感です。

なので、最初から無理に詰め込もうとしなくて大丈夫です。
トレーニングの重さを少しずつ上げていくのと同じように、食べる量も少しずつ増やしていけばいい。
いきなり重いバーベルを持たないのと、同じことです。
3. 油ものを避ければ、お米は気にせず食べられる
私が増量中に油ものを避けるのは、量のわりにカロリーが多いからです。
脂質は1gあたり約9kcalで、炭水化物やタンパク質(1gあたり約4kcal)の2倍以上あります(消費者庁の食品表示基準で使う係数)。
揚げ物や脂の多い肉は、少し食べただけで大きくカロリーが増えます。
脂っこい食べ物はカロリーのわりにお腹がふくれにくく、気づかないうちに食べすぎやすい、という研究報告もあります(Blundell et al., 1993・介入研究の報告)。
つまり、油ものでカロリーを稼ごうとすると、思った以上にプラスが大きくなって、増えるのは脂肪のほうになりやすい。
油ものさえ避ければ、お米は好きなだけ食べていい、というのはそのためです。
ここで言う「好きなだけ」は、無理に詰め込め、という意味ではありません。お米の量は気にしなくていい、という意味です。
それでも、目安(月1〜2kg。体重の軽い方なら月1kg前後)より速く増えてきたら、お米を少し減らしてください。

もう1つ、ちょっとしたコツがあります。
ドレッシングを控えた低カロリーのサラダを先に食べると、食事全体のカロリーが1割前後(7〜12%)減った、という研究があります(Rolls et al., 2004・女性42名の介入研究)。
先にお腹をふくらませると、そのぶん、ほかのものが入る余地が減るということです。
食べるのがきつい日は、ごはんから先に食べてください。
4. 足りない分は、プロテインとゼリーで埋める
食事だけで目標に届かない日は、道具を使ってかまいません。
- タンパク質が足りない日は、プロテイン(市販品の1回分・30g前後で、タンパク質20g前後・110kcalほど)
- 炭水化物(カロリー)が足りない日は、ゼリー飲料(エネルギー補給用なら1個180〜200kcalほど。おにぎり1個分くらいです)
※製品によって量は違います。袋の栄養成分表示で確かめてください。

数字が決まっているので、必要なグラム数やカロリーを目指しやすくなります。
炭酸飲料でカロリーを足したときは、お菓子で足したときと違って、普段の食事が減らず、そのぶん体重が増えた、という研究があります(DiMeglio & Mattes, 2000・15名の介入研究)。
ゼリー飲料も飲み物に近いので、同じように普段の食事を減らさずに足せる、と私は考えています。
それに、きつい運動の直後は、一時的にお腹が空きにくくなることがあります(King et al., 1994・介入研究)。しばらくすると戻りますが、トレーニングのあとに食べにくいときは、ゼリーのように飲めるものから入れると楽です。
ただし、プロテインもゼリーも、あくまで食事で届かない分を埋めるものです。
プロテインでお腹をいっぱいにして、食事が入らなくなっては意味がありません。
5. 増量は1日何食がいい?回数より「1日の合計」が大切な理由
「増量するなら、1日5〜6食に分けたほうがいい」とよく言われます。
ですが、食事の回数そのものが、体組成の変化に影響するという、はっきりした証拠はありません(Schoenfeld et al., 2015・主に減量中の人を対象にしたメタ分析)。
大事なのは、1日の合計です。
基本は、3食+間食1〜2回で十分
なので私は、3食に、間食を1〜2回足すくらいで十分だと考えています。
5〜6回にきっちり分けようとすると、それ自体が負担になります。
1回で食べきれない日は、小分けにする
1回で食べきれない分は、間食に回すイメージです。
1回で食べるのがつらい日は、間食を1回増やすくらいの気持ちで十分だと思います。
※1日の量が同じなら、回数を細かく分けたほうがお腹がすきやすかった、という研究もあります(Ohkawara et al., 2013・15名の介入研究)。ただ、お腹がすくことが、そのまま多く食べられることにつながるかまでは調べられていません。
6. 増量と減量、どっちがきつい?
これもよく聞かれます。
私の場合、食べるものを選ぶようになってからの増量は、きつくありませんでした。
食べるものさえ選べば、あとはお米を好きなだけ食べていいからです。
大会に向けた減量のときも、ほとんどの期間は順調でした。
きつかったのは、大会直前の最後の2週間くらいです。
※初心者の頃は、好きなものを好きなだけ食べて、太っただけでした。そのあとの減量もきつくなりました。だから今は、食べるものを選んでいます。
増量がきつい、と感じているなら、それは増量そのものではなく、やり方がきつくなっているのだと思います。
※食事がきついと感じる一方で、そもそも体重を増やす必要があるのか、と迷う方もいると思います。見た目が変わっていれば、体重が増えなくても成功です。その見分け方は、筋トレで体重が増えないのはなぜ?見た目が変わっていれば成功に書きました。
まとめ
- 増量の食事がきついのは、最初から頑張って食べようとしているから
- 上乗せは少しでいい。体重の増え方は月に1〜2kgまで(体重の軽い方は月1kg前後)
- 私の実感では、運動量が増えてくると、体が欲しがって食べられるようにもなってくる。量はトレーニングと同じように少しずつ増やす
- 油ものは量のわりにカロリーが多い。油ものを避ければ、お米は制限しなくていい
- 食べるのがきつい日は、ごはんから先に
- 足りない分は、プロテインとゼリーで埋める
- 食事は3食に間食を1〜2回。5〜6回にきっちり分けなくていい
増量は、我慢比べではありません。
食べるものを選べば、増量期は、我慢よりも楽しみのほうが多い時期です。