ジムには、ちゃんと通っている。 食事も、自分なりに増やしている。 なのに、体重計の数字が何週間も動かない。
体を大きくしたいのに、体重が増えない。 体を大きくしたくて来られる方に、私がいつも説明していることをまとめました。
答えから書きます。
体重が増えない理由は、ほとんどの場合、2つのどちらかです。 必要な量を食べていないか、脂肪が落ちながら筋肉がついているか。
そして、もし2つめなら、それは失敗ではありません。 体重は変わっていないのに、見た目が変わってきている。私は、これがいちばんの成功だと思っています。
1. 筋トレで体重が増えない理由は、ほとんどがこの2つ
体を大きくしたいと言って来られる方は、とても多いです。 細身を気にされている方も、少なくありません。
そういう方が最初の数週間でよく口にするのが、「体重が増えないんです」という悩みです。
話を聞いていくと、理由はほぼ次の2つに分かれます。
- ① 必要な量を、食べていない
- ② 脂肪が落ちながら、筋肉がついている
①なら、食べる量を見直せば動きます。 ②なら、そのまま続ければいい。むしろ順調です。
※食べる量を増やしているのに体重が減っていく、急に痩せてきた、という場合は、病気が隠れていることもあります。医師に相談してください。
どちらなのかは、体重計ではなく、見た目で分かります。
2. 理由① 必要な量を、食べていない
まず多いのが、これです。
本人は「かなり食べている」と思っている。 でも、1日の流れを聞いてみると、
- 朝は食べたり、食べなかったり
- 昼は忙しくて、軽く済ませている
- 夜にしっかり食べたので、それで足りていると思っている
ということもあります。 夜の1食が多くても、1日の合計では足りていないのです。
食べた量の自己申告は、思った以上にずれます。 痩せにくいと訴える人が、実際に食べた量を5割近く少なく申告していた、という研究もあります(Lichtman et al., 1992・肥満の方10名で、申告と実測を比べた研究)。 これは太りたい人の研究ではありませんが、「自分が食べている量は、自分ではよく分からない」ということは言えると思います。
なので、まずは3日だけ、食べたものを全部書き出してみてください。 アプリでも、スマホで写真を撮っておくだけでもかまいません。 平日だけでなく、休日を1日入れてください。休日は食事の回数が減る人もいます。
「食べても太れない体質(ハードゲイナー)」の正体
「自分はいくら食べても太れない体質だから」と言う方もいます。
同じだけ多く食べても、太り方には大きな個人差があります。 16名に毎日1,000kcalずつ多く食べてもらった研究では、脂肪の増え方に10倍の差が出ました。差を分けたのは、運動ではない、日常の何気ない動きが自然に増えたかどうかでした(Levine et al., 1999・介入研究)。
ただ、この研究でも、全員の体重は増えています。 体質の差はあっても、食べる量を上乗せすれば、体重は動きます。 「ハードゲイナー」という言葉もよく聞きますが、医学的に決まった言葉ではありません。
3. 理由② 脂肪が落ちながら、筋肉がついている
もう1つは、実はうまくいっているケースです。
体重が変わらないのは、「初心者ボーナス」かもしれない
筋トレを始めたばかりの時期は、脂肪が落ちるのと、筋肉がつくのが、同時に起きやすい時期です。 いわゆる「初心者ボーナス」です。
筋肉が増えた分と、脂肪が減った分が打ち消し合うので、体重計の数字は動きません。 でも、体の中身は入れ替わっています。

なので、この時期は体重計ではなく、次のもので見てください。
- 鏡(同じ場所・同じ明るさで)
- 写真(月に1回、同じ角度で撮っておく)
- 服(肩まわり、胸まわり、ウエストがどう変わったか)
- メジャー(腕、胸、ウエスト)
体重は変わっていないけど、見た目が変わってきている。 私は、これがいちばんの成功だと思っています。 初心者ボーナスを、しっかり使えている証拠だからです。
この時期も、食事はこのあと第5章で書く形のまま続けてください。 見た目が変わっているなら、体重計の数字が動かなくても順調です。
※どれくらいのペースで筋肉がつくかの目安として、健康な男性を対象にした111の研究をまとめた分析では、平均10週ほどのトレーニングで、除脂肪量(筋肉を含む、脂肪以外の重さ)が平均1.5kgほど増えていました(Benito et al., 2020・メタ分析)。ただし、これは平均です。同じ腕のトレーニングを12週間続けても、腕の筋肉がほとんど太くならない人から、6割近く太くなる人まで差がありました(Hubal et al., 2005・男女585名の介入研究)。
見た目が変わってくると、周りから「なんか体つき変わった?」と言われる方も多いです。
4. 体重は、毎日ではなく週の平均で見る
体重を見るなら、測り方も大事です。
体重は、朝と夜で0.5〜1kgくらい違うのが普通で、日によって1kg前後動くこともあります(Khosla & Billewicz, 1964・観察研究)。 週末に増えて、平日に減るという周期もあります(Turicchi et al., 2020・1,421名の観察研究)。
なので、
- 朝起きて、トイレのあと、何も口にする前に測る
- 毎日の数字ではなく、1週間の平均で比べる
食べる量は週の合計で考え、筋肉の増え方は月単位で見る。 それくらいの距離感で、ちょうどいいと思っています。




